
五 新たな時代の呼び掛けに応える外交・安全保障
(我が国を取り巻く世界情勢と安全保障環境の変化)
地域の平和や安定を図り、国民の安全を確保すべく、平時からいかなる危機にも迅速に対応する体制を作ります。
「新防衛大綱」に従い、即応性、機動性等を備えた動的防衛力を構築し、新たな安全保障環境に対応していきます。
(日米同盟の深化・発展)
日米同盟は、我が国の外交・安全保障の基軸であり、アジア太平洋地域のみならず、世界の安定と繁栄のための公共財です。
首脳同士の信頼関係を早期に構築するとともに、安全保障、経済、文化、人材交流を中心に、様々なレベルでの協力を強化し、二十一世紀にふさわしい同盟関係に深化・発展させていきます。
普天間飛行場の移設問題については、日米合意を踏まえつつ、普天間飛行場の固定化を回避し沖縄の負担軽減を図るべく、全力で取り組みます。
沖縄の振興についても、積極的に取り組みます。
(近隣諸国との二国間関係の強化)
アジア太平洋地域とは、引き続き、政治・経済面での関係を強化することはもちろん、文化面での交流も深め、同じ地域に生きる者同士として信頼を醸成し、関係強化に努めます。
日中関係では、幅広い分野で具体的な協力を推進し、中国が国際社会の責任ある一員として、より一層の透明性を持って適切な役割を果たすよう求めながら、戦略的互恵関係を深めます。
日韓関係については、未来志向の新たな百年に向けて、一層の関係強化を図ります。
北朝鮮との関係では、関係国と連携しつつ、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決を図り、不幸な過去を清算して、国交正常化を追求します。
拉致問題については、国の責任において、全ての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くします。
日露関係については、北方領土問題を解決すべく精力的に取り組むとともに、アジア太平洋地域のパートナーとしてふさわしい関係の構築に努めます。
(多極化する世界とのつながり)
多極化する世界において、世界共通の課題の解決に共に挑戦する大きな志が必要です。こうした「志ある絆」の輪を、官民の様々な主体に複層的に広げてい来ます。
各国の先頭に立って核軍縮・核不拡散を訴え続けるとともに、原子力安全や防災分野における教訓や知見を他国と共有し、世界への「恩返し」をしていきます。
「包括的経済連携に関する基本方針」に基づき、高いレベルの経済連携協定の締結を戦略的に追求します。
日韓・日豪交渉を推進し、日EU、日中韓の早期交渉開始を目指すとともに、TPP、環太平洋パートナーシップ協定への交渉参加について、しっかりと議論し、できるだけ早期に結論を出します。
資源・エネルギーや食料の安定供給の確保などの経済外交を積極的に進めます。
途上国支援、気候変動に関する国際交渉への対応、中東・北アフリカ情勢への対応や、ぜい弱国家対策といった諸課題にも、我が国として積極的に貢献していきます。