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 三 世界的な経済危機への対応

もう一つの最優先課題は、日本経済の建て直しです。

 (エネルギー政策の再構築)

日本経済の建て直しの第一歩となるのは、エネルギー政策の再構築です。

「我慢の節電」から脱却できるよう、ここ一、二年にかけての需給対策を実行します。

二〇三〇年までをにらんだエネルギー基本計画を白紙から見直し、来年の夏を目途に、新しい戦略と計画を打ち出します。

エネルギー安全保障の観点や、費用分析などを踏まえ、国民が安心できる中長期的なエネルギー構成の在り方を検討してまいります。

原子力発電について、中長期的には原発への依存度を可能な限り引き下げていきます。

安全性を徹底的に検証・確認された原発については、地元自治体との信頼関係を構築することを大前提として、定期検査後の再稼働を進めます。

原子力安全規制の組織体制については、環境省の外局として、「原子力安全庁」を創設して規制体系の一元化を断行します。

化石燃料に乏しい我が国は、世界に率先して我が国の誇る高い技術力をいかし、規制改革や普及促進策を組み合わせ、省エネルギーや再生可能エネルギーの最先端のモデルを世界に発信します。

 (大胆な円高・空洞化対策の実施)

我が国の産業の空洞化を防ぎ、国内雇用を維持していくためには、金融政策を行う日本銀行と連携し、あらゆる政策手段を講じていきます。

予備費や第三次補正予算を活用し、思い切って立地補助金を拡充するなどの緊急経済対策を実施します。

円高メリットを活用して、日本企業による海外企業の買収や資源権益の獲得を支援します。

 (経済成長と財政健全化の両立)

日本の総債務残高は一千兆円に迫る危機的な状況にあり、大震災の発生により、財政の危機レベルは更に高まり、主要先進国の中で最悪の水準にあります。

政治と行政が襟を正す歳出削減の道、経済活性化と豊かな国民生活がもたらす増収の道、将来世代に迷惑をかけないために更なる国民負担をお願いする歳入改革の道、こうした三つの道を同時に展望しながら歩みます。

「新成長戦略」の実現を加速するとともに、大震災後の状況を踏まえた戦略の再強化を行い、年内に日本再生の戦略をまとめます。

国家として重要な政策を統括する司令塔の機能を担うため、産官学の英知を集め、既存の会議体を集約して、私が主宰する新たな会議体を創設します。

環境エネルギー分野、医療関連の分野を中心に、新たな産業と雇用が次々と生み出されていく環境を整備します。

海外の成長市場とのつながりを深めるために、経済連携の戦略的な推進や官民一体となった市場開拓を進めるとともに、海外からの知恵と資金の呼び込みも強化します。

東北の被災地の基幹産業である農業の再生を図ることを突破口として、「食と農林漁業の再生実現会議」の中間提言に沿って、早急に農林漁業の再生のための具体策をまとめます。

農山漁村の地域社会を支える社会基盤の柱として、郵便局が三事業の基本的なサービスを一体的に提供できるよう、郵政改革関連法案の早期成立を図ります。

地域主権改革を引き続き推進します。