
四 責任感に立脚した外交・安全保障政策
(国民の責任感に立脚した外交)
第三の政策課題は、責任感に立脚した外交・安全保障政策です。
相手国に受動的に対応するだけでは外交は築かれないと学びました。
この国をどういう国にしたいのか、時には自国のために代償を払う覚悟ができるか。国民一人ひとりがこうした責任を自覚し、それを背景に行われるのが外交であると考えます。
今日、国際社会は地殻変動ともいうべき大きな変化に直面しています。
その変化は、経済のみならず、外交や軍事の面にも及んでいます。
こうした状況の中、世界平和という理想を求めつつ、「現実主義」を基調とした外交を推進すべきと考えます。
(外交・安全保障政策の考え方)
日米同盟を外交の基軸とし、同時にアジア諸国との連携を強化します。
日米同盟は、日本の防衛のみならず、アジア・太平洋の安定と繁栄を支える国際的な共有財産と言えます。
今後も同盟関係を着実に深化させます。
アジアを中心とする近隣諸国とは、政治・経済・文化等の様々な面で関係を強化し、将来的には東アジア共同体を構想していきます。
中国とは戦略的互恵関係を深めます。
韓国とは未来志向のパートナーシップを構築します。
日露関係については、政治と経済を車の両輪として進めつつ、最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約を締結すべく、精力的に取り組みます。
ASEAN諸国やインド等との連携は、これを、さらに充実させます。
今年開催されるAPECにおいては、議長として積極的な役割を果たします。
EPA・広域経済連携については、国内制度改革と一体的に推進していきます。
我が国は、地球規模の課題にも積極的な役割を果たしていきます。
気候変動問題については、COP16に向けて、全ての主要国による、公平かつ実効的な国際的枠組みを構築するべく、米国、EU、国連などとも連携しながら、国際交渉を主導します。
この秋、愛知県名古屋市で開催されるCOP10では、生物の多様性を守る国際的な取組を前進させます。
「核のない世界」に向け、我が国が先頭に立ってリーダーシップを発揮します。
アフガニスタンの復興支援、TICAD4の公約を踏まえたアフリカ支援を継続するほか、ミレニアム開発目標の達成に向け最大限努力します。
北朝鮮については、韓国哨戒艦沈没事件は許し難いものであり、韓国を全面的に支持しつつ、国際社会としてしっかりと対処する必要があります。
拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決を図り、不幸な過去を清算し、国交正常化を追求します。
拉致問題については、国の責任において、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くします。
国連安保理決議の違反を重ねるイランに対し、我が国は平和的・外交的解決を求めていきます。
国際的な安全保障環境に対応する観点から、防衛力の在り方に見直しを加え、防衛大綱の見直しと中期防衛力の整備計画を年内に発表します。
(普天間基地移設問題)
普天間基地移設問題では先月末の日米合意を踏まえつつ、同時に閣議決定でも強調されたように、沖縄の負担軽減に尽力する覚悟です。
今月二十三日、沖縄全戦没者追悼式が行われます。
この式典に参加し、沖縄を襲った悲惨な過去に想いを致すとともに、長年の過重な負担に対する感謝の念を深めることから始めたいと思います。
がんばれ ニッポン!!!